はじめて行く横浜日の出町の老舗ライブハウス「グッピー」。僕の両親の実家がお隣の黄金町で、日の出町は黄金町同様よく夏休みとか冬休みに従兄弟達とぶらついていた街だけど、当時は競馬のおっちゃんと酔っ払いが多くて怖かった。そしてストリップ小屋、ポルノ映画館、風俗店と子供には教育上よくない(ある意味ではいいのかもしれないけれど)、男たちにはこの上なく素敵な街は今も健在で、嬉しくなった。
さて、そんなグッピーでは吉野大作と音羽信のライブが行われた。昨年12月に発売された「ランプ製造工場デラックス・エディション」と「わすれがたみ」のCD発売記念ライブだ。
特に吉野大作には馴染み深いグッピーというライブハウス。そしてそのライブハウスで何れも34年前にリリースされたアルバムの再発記念とあって、会場は同窓会のように、お互いの健在を笑顔で称えあっていたのが印象的だった。
ライブではまず、音羽信の「わすれがたみ」の世界が、まさか2008年に聞けるとは思わなかった。当時と同じ声で、低音でひとつひとつ言葉を丁寧に歌っていく姿が印象的だった。音羽さんの息子、西欧(セオ)さんがベースを弾き、二人だけのシンプルなステージ。「わすれがたみ」の世界に閉じ込められた、長身で長髪のヒッピー青年は、間違いなく年をとり、頭に白いものが混じっていた。そして途中で音楽活動を休止し、イビザに渡り、今は一流の建築家として大成している。しかし、この日の音羽さんは、そんなブランクを感じさせることなく、青年音羽信として、若いバンドマンと音楽を楽しんでいるような感じだった。
「君はまだ」のイントロが流れたとき、そして「風」が歌われたとき、果たしてこれはどういうことなのだろうか?と思った。レコードでしか聞くことの出来なかった、あの音が今ステージで演奏されているのだから。あの夏の日の夕方にこのLPを聞きながら、湿った風を扇風機が撒き散らしていた、あの汚れた調布の部屋が、あの畳の部屋が頭の中をぐるぐると回った。
そして吉野大作。
この人、やっぱりすごい。熟講師をやりながら、音楽活動を一度も止めることなく、常に活動を続けてきたのだから。そして仲間に恵まれている人だと思った。なんといっても吉野大作バンドのギタリスト朝山孝氏(現在ロスで国際公認会計士)がアメリカから、そして70年代の横浜ナンバーワンギタリスト斉木一久が駆けつけたのだから。この3人で演奏し、そして大合唱となった「流れにそって」。鳥肌が立った。虹の流れをこえて、宇宙の果てへとどこまでも行こうという力強さ。自分達の未来は自分達で切り開いていくしかないと歌った彼等の未来はやっぱりそれぞれが、それぞれの形で切り開いた現在があって、年をとるをいうことはどういうことなのかがちょっぴり分かった気がした。
終演後超満員のグッピーでCDの販売を終え、ビールを1パイ飲んで、桜木町の駅から電車に乗ったのは11時半前。家に着いたのは1時近く。帰りの電車の中で「わすれがたみ」と「ランプ製造工場」をipodで聞きながら、僕もあんな素敵な年のとり方をしてみたいと思った。
木村さん
コメントありがとうございます。
皆さんそれぞれ吉野さんや朝山さんのプレイにやられていたのですね!
当時の彼らのライブを生で見てみたかったです。