土曜日は東京に台風が直撃した。家を出た15時半ごろは正に台風が直撃で、傘が裏返って、あっという間に壊れた。途中、傘さしても意味が無いと思い閉じた。全身びしょ濡れのままコンビにで新しい傘を買い、JRで鶯谷を目指す。
会場は東京キネマ倶楽部。元キャバレーみたいだけれど、何処と無く漂う昭和な場末のすえた感じは年季が入っていた。
珊瑚スペシャルTaruphology Tour初日。生憎の大雨、嵐の夜。だけどあっという間に用意されていたいすが全て埋まっていたから、きっとみんな必死な思いでこの会場にやってきたのだ。
初めて聞くあがた森魚の生の声。正直その艶やかさ、歌のうまさに驚いた。性急な感情を抑えることなく吐き出し続けた青年は、35年という年月の中、色っぽい男になっていた。想像以上に長身で痩せている色っぽい男。
「弥勒」でのピアノの弾き語りの時、譜面台が邪魔でみんなの顔が見えないと言って演奏を途中で止めて、譜面台をどかして、みんなの顔が見える場所から仕切りなおした。このシーンがあがた森魚の35年間の全てのような気がした。いつでもどんな時でもみんなの顔が見える場所から歌を唄っていた。自分の場所。
2度目のアンコール。プロデューサーの久保田麻琴のゆらゆらしびれるエレキだけの伴奏に乗せて唄われた「あともう一回だけ」。シンプルでメロウなこのシーンは最後を締めくくるにふさわしい楽曲だった。たちまち世界は夜の闇の中に消えていくようだった。
ライブ後、後片付けを終えて外に出ると、雨はすっかり止んでいた。近くの中華料理店で飯を食って、帰った。