霞ヶ関で降りて、B1の出口を出て、信号を渡ると公園がぽっかりあって、すぐにそこはお祭りみたいな雰囲気で、ビールとかお好み焼きとか焼きそばの屋台が出ていた。会場に入ると独特の丸い空間がこれまたぽっかりあって、ステージの左右に「御歌囃子信康」の、のぼりが。ステージ中央には狂い咲き2007の巨大なパネルがあった。
この都会の真ん中に突如出現したかのようなコンサート会場は、木々に囲まれていて、ゆっくりと日が暮れると、鈴虫が鳴き出した。少し肌寒い。そうこうしているうちに17時半前に岡林信康が登場。エンヤトットスタイルでいつもと同じように始まる。滑らかなおしゃべりと歌。36年ぶりの野音だけど淡々と変わらない、あえて変えないステージが進む。前半はバンドを従えてのエンヤトットスタイル。中盤弾き語り。終盤またエンヤトットスタイルに戻り、大歓声の中、20時15分頃狂い咲き2007は2回目のアンコールの後、不思議な熱気に包まれたまま、終わった。
今年3回目の岡林のライブ。正直エンヤトットには最初はなじめなかったけれど、今回はどうしちゃったんだろう、めちゃくちゃ楽しかった。というか60代のおっちゃんたちがステージで踊りながら、太鼓や笛や津軽三味線などの古典楽器を手に、楽しそうに、めちゃくちゃ笑顔で日本の土着のリズムを奏でている光景が眼前に広がる。手拍子するだけでリズムに簡単に乗れるのは、その土着のリズムが僕自身にも染み付いているからだろう。それだけで、一種のトランス状態に近い興奮と快感が得られた。これまでは馴染めないのではなくて、きっと馴染もうとしなかったのだと思う。
それまでフォークやロックを奏でていた人が突如西洋のリズムを封印する。西洋のバックビートは既に岡林身体に染み付いていたことだろうと思う。しかしそれを打ち壊して、捨てて、迷いながらも新たに挑戦した。誰にも理解されず、没頭する余りファンは去っていき、途中で止めよう考え、しかし止めずに、止められずに20年以上の歳月をかけて、やっと完成に近づいたエンヤトット。最初はライヴも散々だったことだろう。人もそんなに集まらなかったことだろう。今も幅広く理解されているというわけでは全然ない。だけど、どんな場所でもどんな相手でもいつもと同じように笑いながら踊り歌う。それだけ。それを20年間繰り返す。決してあきらめずに繰り返し楽しみ続けた結果が、狂い咲き2007の全員総立ちのアンコールだったのだと思う。