MR5000番台第2弾+2(プラス・ツー)。レヴュー第7回目は岸部兄弟による唯一のアルバムサリー&シロー/トラ70619です。
1970年にリリースされた本作。ヒッピーが文化として日本に定着し、ラブとピースと反戦と自由が同時に語られる。このあたりは当時の時代背景を大きく反映させた内容になっている。
しかし1曲目「自由の哲学」なんて毎日毎日寝て暮らせる方法はないのかというシローのノンキな出だしからいつの間にかサリーとシローの2人による大阪弁での漫談みたいになっていくし、2曲目「花咲く星」では花で平和を作ることを夢見るボーカルが優しい素敵なフォーク・ロックになる。かと思えば3曲目「YS-11」ではフラワーズの小林勝彦らしいハードでぶっ飛んだガレージサイケ風インスト。
ドラッグ、愛、セックス、平和、自然、自由。
若く、健康な体で生きていく過程において興味をそそられ、考えさせられる事柄がアルバム全体に散りばめられているが、このアルバムからは自由に関しての結論はいつまでたっても出てこない。というか最初から結論なんて出るわけないときっとサリーもシローも知っていたんだと思う。どこかやけっぱちに演じている二人。「今まで散々自由を搾取された身でそんなもんわかるかいなー」とでも言いたげ。だからこそこのアルバムはどこまでも奇妙で可笑しくふてぶてしいかっこよさがあるのかな。蛇腹式ポスター仕様も含めてトータルで怪盤。花に埋もれたサリーとシロー。素敵過ぎる。
結局二人の真意はラストから2曲目のかまやつひろしによる「どうにかなるさ」にすべて集約されているような気がする。
おいらはひとりでどうにかなるさ。
当時の共同幻想とは全く反対の孤独な影に身を埋めている。孤独であるということは、一方でどこまでも自由であることなのかもしれない。
タイガースで「リードタンバリン」というものすごいポジションに落ち着いた岸部シローさん。タンバリンはジュリーの邪魔になるからとの理由で消音の工夫が施されていたようです。
そのほか数々の逸話が満載の岸部四郎さんの本「後ろ向き 一週間に一日幸せならいい」にその全てが書かれています。
悩み無用になります。