HIS HEIR / THE JOURNAL (HIS HEIR MINISTRIES)
コンテンポラリー・ゴスペルといって避けてしまうことは、昨今のメジャーR&Bシーンではご法度となりつつあることは多くのリスナーが感じていることだろう。バリバリの現役シンガーがゴスペル・アルバムと称して新作を発売、そのサウンドは特に日本人の耳には全くと言っても良いほど違和感が感じられない"コンテンポラリー"なR&Bサウンドで彩られ、曲そのものもキャッチーな要素が多く含まれたものが多いことから素直に聴けてしまう。
このHIS HEIRもまさにその時流にのっている好コンテンポラリー・ゴスペル・アルバムだ。サウンドも歌唱も文句無、一級品の"R&B"アルバムとしてぜひ多くのリスナーの耳に届いてほしい作品だ。
コンゴス・アルバムの一番良い点として、どのアルバムもまず歌唱力は問題ないという点が挙げられる。今回のこの3人組もご多分にもれずやはり安定した力でこちらの期待を裏切らない実力の持ち主たちだ。リードも曲中でそれぞれが交代で取り、3人が3人とも高い水準の表現力があることをアピールしている。
ソング・ライティングもほぼ3人でこなしているが、その中でも単独でのクレジットが7曲もあるCHASE R.STANCLEが中心人物と思われる。このCHASEの曲がまた90年代的というか、ゴスペルの匂いがほとんど感じられない、実に純R&B的なメロディ、曲調が多くを占めている。
(2)のフローター感がいっぱいなミッドは実にキャッチーで、昨年からメジャー界で流行りだしているメロディ回帰路線のど真ん中をいく、シングル第一候補曲だ。(5)ではなんとベートーヴェンの「月光」を大胆にも活用、マイナーでシンプルなメイン・メロとの組み合わせが絶妙で、知的かつ遊び心溢れるアイデアには恐れ入るばかりだ。
その他にもエモーショナルなメロディと歌唱が胸を打つスロウの(6)(7)、ややゴスペル・チックな雰囲気が感じられながらも基本は90年代R&Bしている(10)(11)等、CHASE単独クレジット曲にはまったくはずれがない。勿論他のメンバーのクレジット曲も水準以上は簡単にクリアはしているのだが(特にラストの(12)は実にグループ的な高水準なミッド)、やはり中心はCHASE R.STANCLE。この名前は今後要チェックだろう。
ジャケットの雰囲気もやや?なところがあるが、昨今の様々な懲りまくった内容のアルバムなどよりもはるかに歌物な内容には好感が持てる。コン・ゴスと区別することはまったく無用、優れた中身の純R&Bアルバムとして、いや懐古主義なソウル・リスナーにも推薦できる最高の歌物アルバムとしてぜひお薦めしたい作品である。
by 営業部S氏
・HIS HEIR オフィシャルHP
コンゴス・トリオの熱さ(こちらも傑作21:03!)度 ☆☆☆☆☆ | 歌唱力度 ☆☆☆☆☆ | 太い喉度 ☆☆☆☆ | r&b作品としての満足度 ☆☆☆☆☆