日本地下音楽

日本のアングラ、インディーズシーンの自主制作音源(CDR等)を中心に、メジャーものまで日本の地下音楽の入荷状況、オススメ商品、またライブレポートなど含めて長々と殴り書きします。

 
 

SOUL FLOWER UNION インタビュー1

2010-12-07

13546.jpg くるり、あら恋、ビーチズなどがこぞって惚れ込むモンスターバンド、ソウル・フラワー・ユニオン!!!前作『カンテ・ディアスポラ』をリリース後、重量級のライブ盤『EXILE ON MAIN BEACH』、そして3枚のミニアルバム級のマキシ・シングルのリリースラッシュを経て、約2年ぶりの新作アルバムが遂に完成!!
紛れも無い最高傑作を作り上げたばかりで、レコ発ツアー間近のフロントマン・中川敬氏にインタビューさせて頂きました〜!!

<インタビュー:南(diskunion渋谷中古センター)森崎(diskunion営業部)>


-それではよろしくお願いいたします。

中川(以下:N)よろしく〜。最高傑作やね〜、『キャンプ・パンゲア』。

-早いですね(笑)。確かに、いつも仰られる様に、今作もやはり最高傑作だと本当に思います。今作は『キャンプ・パンゲア』と言うタイトル、そして曲にも<パンゲア><パンサラッサ>があり、それぞれギリシャ語で“パンゲア=全ての陸地”、“パンサラッサ=全ての海”と言う事だそうですが?

N:何億年も前、地球の大陸はくっついたり離れたりしていた。もちろん見て来たわけじゃないよ(笑)。3億年くらい前に今の大陸が全てくっついてて、その大陸の呼称を“超大陸”とか“パンゲア”とかいうんやね。マイルス(・デイヴィス)の『パンゲア』もそれ。語源は“全ての陸地”。まあ、アルバム・タイトルは相当後で付けたけども、最終的に『キャンプ・パンゲア』にしたっていうのは、ちょっとした遊び心も含んでいて、そんなに深刻に考えなくてもよろしい(笑)。

-先に<パンゲア>と言う曲が出来ていたんですね。

N:そう。アルバムタイトルはいつも最後まで悩む。今回、自分の唄をあとで振り返ってみると、ディアスポラ(=離散の意)、デラシネ(=郷失者の意)、“よそ者”、“マレビト”……、そういういわば“人間の移動”を唄っている。まあ、もちろん旅の人生でもあるし。だから俺の中では『カンテ・ディアスポラ2』って感じなんよね。ただ、それではBM tunesも売りにくいやろなってことで(笑)、考えたのがこのタイトル。野営地・パンゲア、とか、仮の宿・パンゲア、とか。まあ、新しい軍事基地を作ったっていう風にとってもらっても別にいい。呑み屋しかない軍事基地、9割女性(笑)。

-(笑)、1曲目の<パンサラッサ>はインストの曲ですが、インストとしては8曲目に<道々の者>と言うインストナンバーも収録されていて、これは流れを切り換えると言った意味合いも込められているんでしょうか?

N:そうなったね。いつもあらゆる曲順を試行錯誤して考え抜くんやけど、やはりアナログ世代、A面・B面的収め方に行き着くことが多いね。この<道々の者>を真ん中に置くアイディアは結構当初からあったかな。

-なんだかニューエスト・モデル(ソウル・フラワー・ユニオンの前身バンド)時代を思い出しましたよ。真ん中にこう言う感じでインストがあるって言う流れが。

N:リプライズ(14曲目<続・死ぬまで生きろ!>)についてもよく言われるけどね。<ソウル・フラワー・クリーク>(ニューエスト・モデル1992年作『ユニバーサル・インベイーダー』収録)ですね、って。でも、このリプライズはたまたま。
「あ、<ソウル・フラワー・クリーク>も、『サージェント・ペパーズ(・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド)』(The Beatlesの名盤)のリプライズも同じ位置やったな」ってあとで気付いたくらい。でも、そういう踏襲じゃなくて、曲順っていつも最終的に、映画的に落とし込むところがあって。今回で言うと、映画の最終シーンが<続・死ぬまで生きろ!>で、クレジット・ロールに<移動遊園地の夜>がくるというイメージが降りてきた。『サージェント・ペパーズ』も、リプライズの後に<ア・デイ・イン・ザ・ライフ>があって良かったねぇ(笑)。

-だからですかね、<死んだあのコ>や<再生の鐘が鳴る>もうそうですが、歌詞を読むとすごく映画的な情景が浮かんできますよね。

N:そんな狙ってるわけではないけどね。客観的に見ると、『ロロサエ・モナムール』(2005年作)以降、そういうタイプの曲が増えてきたとは思うね。書いてる時はそんなことはあんまり考えてなくて。自分の中にある記憶とか、心象風景みたいなものを1曲の中に複合的に混ぜちゃえ、みたいなところがあって。
<そら>(2003年作『シャローム・サラーム』収録)あたりもそうやけど、特定の1ヶ所や、特定の誰か1人の主人公じゃない歌詞構造にしようとしてて、そうすることによって普遍的な人生が浮かび上がってくるんじゃないか、っていう。
<死んだあのコ>も実は具体的に・・・ソウル・フラワーのファンの子がガンで亡くなったことがきっかけになって書き始めてはいるんやけど、ちょうど書いてる時に、沖縄戦や、米占領下の沖縄のことを調べてて、複数の主人公が楽曲に入り込んできた。子供を亡くした親の心情。胸一杯になりながら、一気に書き上げた。

-<死んだあのコ>の歌詞を読んでいると、前作に収録されている『海へゆく』(2008年作『カンテ・ディアスポラ』収録)に通じる何かを感じます。

N:なるほど。わからない(笑)。自分がどう変化してきたかとか、実はこうしたインタビューの場とかからいつも教えてもらってる。表現作法はどんどん変化してるとは思うけど、俺の中では、自分が出会ったものに対して、自分というフィルターを通して日常的に楽曲に落とし込むっていう作業をちゃんとやっとかなあかん、と思ってるだけで。日記書かないし(笑)。

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SOUL FLOWER UNION インタビュー2

2010-12-07

13545.jpg -今回、最初に聴かせて頂いた印象として、フルートの音色がすごくフィーチャーされている様に感じられました。個人的にはソウル・フラワーとフルートと言うと1st『カムイ・イピリマ』(1993年作)や、2nd『ワタツミ・ヤマツミ』(1994年作)のイメージが強いんですよね。

N:前作『カンテ・ディアスポラ』に金子飛鳥さん(フィドル奏者)に結構入ってもらって。金子さんとは、ソウル・フラワーでは『ワタツミ・ヤマツミ』以来やったけども、久しぶりにやってみて「ああ、やっぱりこの人の演奏好きやな、素晴らしいなあ」って手応えがあって。
それで前作は結構フィドル色が強い。で、今回のアルバムは、最初に出来た<ルーシーの子どもたち>や<千の名前を持つ女>あたりが、ちょっとラテン風味やったから、今度は赤木(りえ=フルート奏者)さんと久しぶりにやってみようかなって。
赤木さんも『ワタツミ・ヤマツミ』あたり以来やねんけど、最初に<ルーシーの子どもたち>に参加してもらったらバッチリ。相性が良いっていうか。ちょっと感動した。
それで次のセッションもまた呼んで、ってなっていくうちに、アルバム全体で大活躍してもらうことになったんよね。俺は彼女たちの大ファンなんよ。

-今作は高木克さん(ギター/ブズーキ)がメンバーとして加入して初めてのフル・アルバムですが?

N:何といっても今回一番のトピック。高木克加入の1stアルバム。でも、克っちゃんがなじみすぎてて、俺らもこの件を忘れがちやねん(笑)。
今回の最初のレコーディング・セッションから加入してるから、もう2年前になるし。しかも、ライヴより先。さらに、さっき気付いてんけど、最初のセッションの4曲がアルバムの中で並んでる。<パンゲア>から続く4曲。これはまさにたまたま。

-へえー! それでは<パンゲア>からの4曲が今作の中ではかなり初期に出来た曲ってことなんですね? <パンゲア>はてっきり後の方に作られたのかと思ってました。

N:『カンテ・ディアスポラ』リリース後すぐの、最初のセッション。そのセッションにはゲストにリクオ(日本屈指のピアノ/キーボード奏者)もいたから、ちょっとロックンロールを1曲録ってみようって軽いノリ。こういう曲は、それぞれの出自、いわゆる「お里が知れちゃう」みたいな感じがあって、それもまた良し。
<もっとおっぱい>(『カンテ・ディアスポラ』収録)や<不惑の朝ぼらけ>(2008年作シングル『ラヴィエベル』収録)、<零年エレジー>(『ロロサエ・モナムール』収録)もそんな感じの曲やったね。<NOと言える男>(『スクリューボール・コメディ』2001年作収録)もそうかな。ちょっと遊びというか、そんな曲も必要なんよ。

-でも、<パンゲア>はわりと真摯な歌詞を唄われてますよね?

N:<もっとおっぱい>もやけど(笑)。まあ、作り始めたら、最終的にはこういう歌詞になったけどね。

-高木さんと言うとシェイディー・ドールズ(高木氏がかつて在籍していたバンド)と言うイメージがどうしてもあるんですが。

N:俺も最初はそういうイメージやってけんど、彼は90年代後半にシェイディー・ドールズを脱退してから、ずっとオールドタイミーやカントリーとか、結構そっちの方面にいってて。
<千の名前のを持つ女>でもわかるように、ペダル・スティールもいいよ。だから、ソウル・フラワー的にはそんなに遠くないっていう感じはあった。

-<ダンスは機会均等>は、近年のライヴを観ていても、これはソウル・フラワー・ユニオンのアンセム的な曲になるんじゃないか、と思わせる楽曲ですね。9月のツアーのタイトルもこの<ダンスは機会均等>でしたし。

N:この曲は今回のアルバムの中で俺にとっても重要。始まりは単純に、エチオピアの『エチオピーク・シリーズ』(1960年代後半〜70年代初頭のエチオピアのジャズやソウルを扱ったアフロ・ポップのコンピ・シリーズ)を久しぶりに聴いてて、「ああ、アフロのハチロク(八分の六拍子)、最近演ってないな」って思ったところから。
<闇夜の太陽>(1996年作『エレクトロ・アジール・バップ』収録)とか、<恋のパールハーバー>(1999年作『ウィンズ・フェアグラウンド』収録)あたり以来かな。それで、以前のコリアン・ビートから始まってエチオピアの方へ向かう流れを、反対にエチオピアの方から東アジアに向かって来る感じにしてみようと思ったわけ。
まあ、そんな抽象的なイメージ設定は、自分の中でひとり勝手に敷いただけやけどね。

-なるほど、そうなんですね。

N:で、関係ない話になるけど、ホモサピエンスのルーツ。直立二足歩行を始めて700万年。ホモサピエンスの血脈の源流が20万年ぐらい前の、1人のエチオピアのある女性にたどり着く。
“ミトコンドリア・イヴ”って名付けられたその女性の子孫なわけやね、全人類。君も、俺と血のつながってる兄弟や(笑)。で、たまたまここでも“エチオピア”。力技でリンクさせた(笑)。特に歌詞の内容。1番は、現生人類の壮大なる大移動。2番は、コーカソイドによるネグロイドの奴隷移動。3番は、日本の帝国主義による強制的コリアン・ディアスポラ。そうしたことを、自分の中ではそんなにシリアスになるでもなく、昨日の出来事のように、1曲の中に落とし込んだというか。この曲は特にお気に入り。

-<ホップ・ステップ・肉離れ>は、すごくインパクトのある曲名ですよね(笑)。ライヴで最初に曲紹介した時に、笑いも起きていたり(笑)。

N:曲を書き上げてメンバーに送った時、みんな“仮タイトル”やと思ったみたい(笑)。

-ここには何か意図があるんですか?

N:意図! まあ、人生を歌ってる(笑)。うまくいかないことを楽しもうやないか。負けるが勝ちともいうじゃないか(笑)。

-個人的には<移動遊園地の夜>がすごく好きで。最後にこの曲があって終わるわけですけど、この曲が最後にあるので、また頭から繰り返し聴きたくなるんです。歌詞もわりと前向きな歌詞が唄われてますよね?

N:これも例によって、自分の中の複数の記憶を織り混ぜて新たな主人公が立ちのぼってきたタイプの曲。<そら>とかもそうやね。
数年前のフランス・ツアーの時に訪れたある小さい街の広場に、ちょうど移動遊園地があって。その横で、すごく疲れた顔した、ヘジャブを被ったアラブ系の女性が座っていた。広場ではクルド人のデモがあってね。その光景が印象に残ってて。
で、2年前、イスラエルのパレスチナ空爆のあと、東京と大阪のデモに行った時に出会った在日アラブ人のヘジャブを被ったおばちゃん。そうした心象風景の残像がポンっと浮かび上がって、複数の登場人物が出来上がっていったんよね。短編映画の脚本を書く感じでもあった。

⇒インタビュー3へ



Posted by kame at 13:33:34Comments(0)TrackBack(0)

SOUL FLOWER UNION インタビュー3

2010-12-07

-10月に辺野古で行われた“ピース・ミュージック・フェスタ”のお話を聞いても良いですか?

N:今回は大成功! なんで来てくれへんかったん?(笑) ほんと素晴らしかった。実行委員長はヒデ坊(伊丹英子)と知花竜海の2人やけど、今回はスタッフのほとんどがウチナーンチュ。これが何よりも大きかった。そこから、竜海の友達のマーシーっていう、30代前半の素晴らしいキーマンが今回あらわれて。彼を軸に、ウチナーンチュ中心の祭りになっていった。
以前は見え方的に「反基地イベント色」が結果的に強かったと思うけど、「人殺しのための新しい基地なんていらない!」って、もはや集まった皆が個々に既に思ってる。もうそれでいい。旗はいい、音楽があるんやから。あとは「今の辺野古を見に来ない? 音楽で繋がろう!」っていうことやね。そういう、本来的な「祭」に変わってきてる、成長してきてる。
辺野古の社交街の人たちが協力してくれたり、「基地推進派」と言われる人たちも会場に遊びに来てくれたり。会場にはお年寄りから子どもまで実に雑多な顔が集まって、みんなで音楽してた。結局、人々を分断してるのは国家であって、個人の心中なんてのは、そんな反対・賛成、スカッと単純化できるわけではない。そういう意味でも今回は本当に達成感が今までとは違う。
しかも今回、出演者はみんな自腹で集まってくれて。内地から参加した七尾旅人君も、THA BLUE HERBのBOSS君も、中川五郎さんも、カーネーションの直枝君も、三宅洋平君も、みんな異ジャンルにみえるけど、一から十まで全部説明せんでも済むやつらばっかりというか。加えて音楽も素晴らしい。
阪神淡路大震災の翌年に神戸の長田神社でやった“つづら折りの宴”の時にも感じた、集まったやつらのことは一生忘れられへんやろうな、っていう高揚感が、スタッフとミュージシャンの間にあった。本当に素晴らしかったよ。

-行けば良かったー!

N:ほんまほんま。これからは気をつけるように!(笑)

【 Release Information】
New Album 『キャンプ・パンゲア』 2010.12.15 Release

★ディスクユニオンオリジナルデザインTシャツ付き 完全限定セット ¥3,800(tax-in)
★通常盤(CDのみ) \3,150(tax-in)

ご予約はこちら


【 Live Information 】

◎ソウル・フラワー・ユニオン
12/4(土)名古屋 クラブクアトロ
12/5(日)大阪 BIG CAT
12/7(火)福岡 DRUM Be-1
12/11(土)東京 赤坂BLITZ

◎ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザン(中川敬・リクオ・高木克)
2011/1/12(水)滋賀 酒遊館
2011/1/14(金)愛媛 松山ブエナビスタ
2011/1/16(日)兵庫 加古川 ギャラリー&サロン 日本堂
2011/1/19(水)神奈川 藤沢 虎丸座
2011/1/20(木)東京 吉祥寺 弁天湯

info. SOUL FLOWER OFFICIAL WEBSITE http://www.breast.co.jp/soulflower/



Posted by kame at 13:21:15Comments(0)TrackBack(0)
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