日本地下音楽

日本のアングラ、インディーズシーンの自主制作音源(CDR等)を中心に、メジャーものまで日本の地下音楽の入荷状況、オススメ商品、またライブレポートなど含めて長々と殴り書きします。

 
 

SOUL FLOWER UNION インタビュー2

2010-12-07

13545.jpg -今回、最初に聴かせて頂いた印象として、フルートの音色がすごくフィーチャーされている様に感じられました。個人的にはソウル・フラワーとフルートと言うと1st『カムイ・イピリマ』(1993年作)や、2nd『ワタツミ・ヤマツミ』(1994年作)のイメージが強いんですよね。

N:前作『カンテ・ディアスポラ』に金子飛鳥さん(フィドル奏者)に結構入ってもらって。金子さんとは、ソウル・フラワーでは『ワタツミ・ヤマツミ』以来やったけども、久しぶりにやってみて「ああ、やっぱりこの人の演奏好きやな、素晴らしいなあ」って手応えがあって。
それで前作は結構フィドル色が強い。で、今回のアルバムは、最初に出来た<ルーシーの子どもたち>や<千の名前を持つ女>あたりが、ちょっとラテン風味やったから、今度は赤木(りえ=フルート奏者)さんと久しぶりにやってみようかなって。
赤木さんも『ワタツミ・ヤマツミ』あたり以来やねんけど、最初に<ルーシーの子どもたち>に参加してもらったらバッチリ。相性が良いっていうか。ちょっと感動した。
それで次のセッションもまた呼んで、ってなっていくうちに、アルバム全体で大活躍してもらうことになったんよね。俺は彼女たちの大ファンなんよ。

-今作は高木克さん(ギター/ブズーキ)がメンバーとして加入して初めてのフル・アルバムですが?

N:何といっても今回一番のトピック。高木克加入の1stアルバム。でも、克っちゃんがなじみすぎてて、俺らもこの件を忘れがちやねん(笑)。
今回の最初のレコーディング・セッションから加入してるから、もう2年前になるし。しかも、ライヴより先。さらに、さっき気付いてんけど、最初のセッションの4曲がアルバムの中で並んでる。<パンゲア>から続く4曲。これはまさにたまたま。

-へえー! それでは<パンゲア>からの4曲が今作の中ではかなり初期に出来た曲ってことなんですね? <パンゲア>はてっきり後の方に作られたのかと思ってました。

N:『カンテ・ディアスポラ』リリース後すぐの、最初のセッション。そのセッションにはゲストにリクオ(日本屈指のピアノ/キーボード奏者)もいたから、ちょっとロックンロールを1曲録ってみようって軽いノリ。こういう曲は、それぞれの出自、いわゆる「お里が知れちゃう」みたいな感じがあって、それもまた良し。
<もっとおっぱい>(『カンテ・ディアスポラ』収録)や<不惑の朝ぼらけ>(2008年作シングル『ラヴィエベル』収録)、<零年エレジー>(『ロロサエ・モナムール』収録)もそんな感じの曲やったね。<NOと言える男>(『スクリューボール・コメディ』2001年作収録)もそうかな。ちょっと遊びというか、そんな曲も必要なんよ。

-でも、<パンゲア>はわりと真摯な歌詞を唄われてますよね?

N:<もっとおっぱい>もやけど(笑)。まあ、作り始めたら、最終的にはこういう歌詞になったけどね。

-高木さんと言うとシェイディー・ドールズ(高木氏がかつて在籍していたバンド)と言うイメージがどうしてもあるんですが。

N:俺も最初はそういうイメージやってけんど、彼は90年代後半にシェイディー・ドールズを脱退してから、ずっとオールドタイミーやカントリーとか、結構そっちの方面にいってて。
<千の名前のを持つ女>でもわかるように、ペダル・スティールもいいよ。だから、ソウル・フラワー的にはそんなに遠くないっていう感じはあった。

-<ダンスは機会均等>は、近年のライヴを観ていても、これはソウル・フラワー・ユニオンのアンセム的な曲になるんじゃないか、と思わせる楽曲ですね。9月のツアーのタイトルもこの<ダンスは機会均等>でしたし。

N:この曲は今回のアルバムの中で俺にとっても重要。始まりは単純に、エチオピアの『エチオピーク・シリーズ』(1960年代後半〜70年代初頭のエチオピアのジャズやソウルを扱ったアフロ・ポップのコンピ・シリーズ)を久しぶりに聴いてて、「ああ、アフロのハチロク(八分の六拍子)、最近演ってないな」って思ったところから。
<闇夜の太陽>(1996年作『エレクトロ・アジール・バップ』収録)とか、<恋のパールハーバー>(1999年作『ウィンズ・フェアグラウンド』収録)あたり以来かな。それで、以前のコリアン・ビートから始まってエチオピアの方へ向かう流れを、反対にエチオピアの方から東アジアに向かって来る感じにしてみようと思ったわけ。
まあ、そんな抽象的なイメージ設定は、自分の中でひとり勝手に敷いただけやけどね。

-なるほど、そうなんですね。

N:で、関係ない話になるけど、ホモサピエンスのルーツ。直立二足歩行を始めて700万年。ホモサピエンスの血脈の源流が20万年ぐらい前の、1人のエチオピアのある女性にたどり着く。
“ミトコンドリア・イヴ”って名付けられたその女性の子孫なわけやね、全人類。君も、俺と血のつながってる兄弟や(笑)。で、たまたまここでも“エチオピア”。力技でリンクさせた(笑)。特に歌詞の内容。1番は、現生人類の壮大なる大移動。2番は、コーカソイドによるネグロイドの奴隷移動。3番は、日本の帝国主義による強制的コリアン・ディアスポラ。そうしたことを、自分の中ではそんなにシリアスになるでもなく、昨日の出来事のように、1曲の中に落とし込んだというか。この曲は特にお気に入り。

-<ホップ・ステップ・肉離れ>は、すごくインパクトのある曲名ですよね(笑)。ライヴで最初に曲紹介した時に、笑いも起きていたり(笑)。

N:曲を書き上げてメンバーに送った時、みんな“仮タイトル”やと思ったみたい(笑)。

-ここには何か意図があるんですか?

N:意図! まあ、人生を歌ってる(笑)。うまくいかないことを楽しもうやないか。負けるが勝ちともいうじゃないか(笑)。

-個人的には<移動遊園地の夜>がすごく好きで。最後にこの曲があって終わるわけですけど、この曲が最後にあるので、また頭から繰り返し聴きたくなるんです。歌詞もわりと前向きな歌詞が唄われてますよね?

N:これも例によって、自分の中の複数の記憶を織り混ぜて新たな主人公が立ちのぼってきたタイプの曲。<そら>とかもそうやね。
数年前のフランス・ツアーの時に訪れたある小さい街の広場に、ちょうど移動遊園地があって。その横で、すごく疲れた顔した、ヘジャブを被ったアラブ系の女性が座っていた。広場ではクルド人のデモがあってね。その光景が印象に残ってて。
で、2年前、イスラエルのパレスチナ空爆のあと、東京と大阪のデモに行った時に出会った在日アラブ人のヘジャブを被ったおばちゃん。そうした心象風景の残像がポンっと浮かび上がって、複数の登場人物が出来上がっていったんよね。短編映画の脚本を書く感じでもあった。

⇒インタビュー3へ


Posted by kame at 13:33:34 │Comments(0)TrackBack(0) | 日本地下音楽 TOP | 前の記事次の記事

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